
読みもの:珈琲染めの手しごと
「染め鞄」は珈琲焙煎の際に選別し取り除いた廃棄豆を染め物として活用した作品です。
焙煎工房「ヤマドリ珈琲」では焙煎前・焙煎後の2回に分けて珈琲豆の欠点や異物を取り除きます。
焙煎をする度にたまる廃棄豆。何かに活用できないか?と困っていたところ、同じく月出工舎内にある染織工房の岡さんから染織の素材として使ってみたいとお声がかかりました。

試しに焙煎豆・生豆をさまざまな媒染液に浸けてみると、個性豊かな色が出来上がりました。
もしかして、これで何か作れるのではないか?
月出工舎では芸術祭の度にTシャツやアーティストによるプロダクト制作してきた経緯があり、次回の芸術祭巡りの時にチラシやパンフレットを入れる鞄にしよう!という事になり、そこから染織工房と焙煎工房の共同作業が始まりました。

まずは染液づくり。コーヒーミルで細かく挽いた豆を袋詰めにします。巨大鍋でじっくり煮込み、布巾で濾すとコーヒー染液の出来上がり。

その後は鞄とコーヒー染液を鍋に入れてじっくり煮込む → 水洗い → 媒染液でまたじっくり煮込む → 水洗い → 再びコーヒー染液でさらにじっくり煮込む → 水洗い、の繰り返し。
水洗いでは液を落とすために何度も水を入れ替えます。室内とはいえ、冬の時期に作業すると水がとても冷たく感じます。
最後の水洗いが終わったら室内に干してじっくり乾燥させてます。
この一連の作業で出来上がるのはわずか15袋。ほぼ半日が費やされます。

次はシルクスクリーンによる印刷。こちらもひとつひとつ手作業て刷ります。
インクを調合して鞄に合う色を作り、表に月出工舎のロゴ、裏には工舎の校庭で遊べる遊具(滑り台、登り台、ブランコ、シーソー)を刷ります。インクが乾いたらアイロンがけして完成です。

鞄はパンフレットやチラシ、ガイドブックを収納できるちょうど良いサイズです。芸術祭巡りのお供にどうぞ。
会場で貰った缶バッジを勲章の様に付けるのも◎。
今回は、焙煎豆・生豆を「チタン」媒染で発色させました。
ちなみに写真にさりげなく写っているこげ茶色の鞄は「鉄」媒染による染織。これは月出工舎のカフェスペース「TSUKIDEYA」のみの販売となります。
来年春は是非この鞄と一緒に南市原の里山を巡ってください。お待ちしております。
ーーーーーーーーーー
* 房総里山芸術祭「いちはらアート×ミックス2020+」は2021年3月20日(土)~5月16日(日)に開催予定です。
https://ichihara-artmix.jp/
▼ この作品に関わっている作家・職人の紹介はこちらからご覧ください。
https://tsukide.stores.jp/news/5f4fae158b9c62487ef40eeb